連合は10月22日、中央女性集会を開き、連合運動のあらゆる分野の意思決定の場に女性参画を促進していく「ジェンダー主流化」の推進を呼びかけた。芳野友子会長と清水秀行事務局長がトークセッションに参加。立教大学の首藤若菜教授が講演し「労組活動のスタイルを見直す時だ」と語った。
連合は、組合員比率に応じた女性役員の執行機関への登用を求める「ジェンダー平等推進計画フェーズ1」を10月にスタートさせた。議決機関にとどまらず、組織の運営を担う執行機関への女性の登用を、連合本部だけでなく、地方連合会にも求めている。2030年までに5割の女性参画を目指している。
連合は向こう2年間の運動方針の重点分野に「ジェンダー主流化」を位置づけた。「ジェンダー主流化」とは、あらゆる分野の方針策定や決定の場に多くの女性が参画できるよう、方針や政策に、男女の役割や責任、権利の不平等を解消する「ジェンダー」の視点を貫くという考え方だ。
芳野会長は「『ジェンダー主流化』の先頭に立つ」と決意を述べ、その方針がきちんと実行されているかどうかのチェックや検証が必要と強調。「(連合本部内でこの課題を担当する)ジェンダー平等・多様性推進局が(労働条件や労働法制、政策など)他の局に関与し、それぞれの局が女性参画推進に動いているのかを見てほしい。清水事務局長の力も借りて動かしていく」と述べ、この課題をあらゆる運動の中心に据えていく姿勢を示した。
「30年までに女性参画5割」という最終目標について、「やらなければならない課題。国際的に女性参画は少なくとも4割、5割を目指すのが流れだ」と意義を強調した。
●組合活動の変革が必要
労使関係論を研究する首藤若菜教授は講演で、女性参画を推進する際に、よく耳にする「女性が(役員候補として)育たない」という意見について、「なぜ育たないのかという視点が大事」と話した。
首藤教授は組合内での任務や役割に男女差が生じていると述べ、「女性役員が担うのは男女平等推進担当や広報で、賃金や労働条件など組合の中心的な課題には男性が多い。これでは女性は経験不足となり、(委員長や書記長などの)上三役になるのは難しい」と指摘した。
男女間で差が生じる原因として、首藤教授は女性への「配慮」を挙げた。忙しい分野だから女性には大変という「配慮」が、女性が育たない状況をつくり出しているという。女性の参画が増えれば「配慮」すべき対象が増え、「これ以上は増やせない」という状況に陥ってしまう。
首藤教授は「配慮」ではなく、誰もが参画できる組合活動に変えていかなければ、女性参画は進まないのではないかと疑問を投げかけた。そのために、会議のあり方や長時間の活動スタイルなどを見直すことを提言した。
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