連合はこのほど、インターネットからの労働相談に24時間対応できる機能をスタートさせた。日本語をはじめ、中国語、ベトナム語など15の言語に対応できるのが特徴。相談者の疑問や悩みに、人工知能(AI)を組み込んだチャットボット(質問などにロボットが答える機能)が、自動的に応答する仕組みだ。通勤や休憩時間中にスマホで気兼ねなく気軽に相談できる。
名称は「ゆにボ」。連合ホームページに加え、LINEやフェイスブックなどのSNSから活用が可能だ。
「職場の悩み」「税金・社会保障の悩み」「フリーランス・業務委託の悩み」「新型コロナウイルスの悩み」など7項目に加え、分類されていない質問にも対応する。相談者が入力した文章から、AIがキーワードとなる単語を抽出して質問内容を読み解き、回答が表示される。
クリック一つで使用言語を選択できる。選べる言語は、日本語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、ベトナム語、韓国語、フィリピノ語(タガログ語)、ポルトガル語、ネパール語、インドネシア語、英語、タイ語、スペイン語、ミャンマー語、カンボジア語(クメール語)、モンゴル語。厚生労働省が外国人向けの相談窓口で対応している言語を基本にした。
「直接相談したい」をクリックすると連合につながる。実際に会って相談したい場合は、スマホの位置情報により、近くの地方連合会までのルートを示してもらえる。
●AIが的確に読み解く
実際に「ゆにボ」を使って相談してみた。「職場での悩み」というボタンを押すと、「いじめ・パワハラ・セクハラ」「解雇・雇い止め」「時間外・休日労働手当」などの項目一覧が表示された。
「時間外・休日労働手当」を選ぶと、「割増賃金の対象時間と計算方法」「事業場外みなし労働時間制の割増賃金」など、専門用語が並んでいたので、あえて相談内容を「自由記述欄」に入力してみた。
「毎日のように夜10時まで残業していますが、残業代は月10時間分しか出ていません。これっておかしいですか?」と入力し、「送信」をクリックした。すると、「ゆにボ」からは「以下のようなご質問でしょうか?」と相談内容の確認を求めてきた。
「ゆにボ」が読み解いた質問内容は「残業に対する手当が決まっていて、それ以上働いても賃金は増えない」という内容。こちらが聞きたかったポイントを的確に押さえた反応が返ってきた。
さらに先へ進むと、「労働基準法37条(割増賃金)違反」であると表示され、連合や労働基準監督署に相談するよう促された。
相談の途中で設問を変更することも可能。質問を切り上げることも、相談相手が機械なので気兼ねする必要はない。休憩時間や通勤の空いた時間に、スマホで気軽に相談できる。
連合は、働く者の「必ずそばにいる存在」として役割を果たし、困りごとの解決を進め、集団的労使関係の輪を広げていきたい考えだ。そのための機能の充実も図っていく。
〈写真〉LINEで「ゆにボ」を開いた時のスマホの画面
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