2021年度の最低賃金改定で、国家公務員の高卒初任給が最賃を下回ると考えられる地域がさらに増えた。国公労連のデータによると、東京をはじめ、広島、三重など11都府県に拡大し、340市町村を超える(次ページに表)。東京は23区を除く全市町村で〃最賃割れ〃となった。
国家公務員の高卒初任給は15万600円。人事院勧告は2年連続で据え置きとした。この12カ月分に3~20%の地域手当を加味した額を2015時間で割り、時給を算出した。2015時間は、国が基準とする年間労働時間。残業代はこの基準で計算される。
地域手当は勤務地により支給される。市区町村ごとに本給の3~20%まで7段階。不支給地もある。大企業立地地域が高く、農村部は低いか支給されない。全地域不支給の県もある。
東京は、地域手当が16%加算される2級地(調布市など)も時給換算額が1040円となり、21年度の最賃1041円を下回った。20%支給される1級地の23区(1076円)も、のみ込まれる寸前だ。
神奈川で最賃をクリアしているのは、横浜、川崎、厚木の3市だけ。埼玉、千葉、愛知、大阪は大半が下回る。静岡、京都、兵庫、三重、広島は地域手当不支給の地域が多く、これも半数以上の市町村で〃最賃割れ〃となる。全体では340市町村を超えた。
地域手当が低額か不支給の地域だからといって、国の出先機関がないわけではない。ハローワークでみれば、静岡や愛知、三重、京都、兵庫、広島などでは不支給地に相当数ある。
本来率先垂範すべき国が、最賃違反が疑われる運用を続けていることに問題はないのか。最賃千円超の時代を迎え、一時しのぎではない対策が求められる。
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