中央最低賃金審議会の目安28円を受け、各地方の最賃審で金額改定の答申が出されている。東京などの都市部で目安通りの答申が続く中、秋田では8月5日、プラス2円の30円を打ち出した。公益委員見解には、上積みを行う理由として「若年者の流出に歯止めをかける」の文言が初めて入った。翌日には山形がプラス1円を示した。
秋田の最賃は822円となる見通し。採決では使用者側の委員5人全員が反対した。昨年は目安プラス2円で全会一致だった。
公益見解は、県内の景気が緩やかに持ち直していることや雇用指標の回復、骨太方針に「地域間格差への配慮の観点」が盛り込まれたことに言及。「秋田県の人口減少による地域経済の縮小が懸念される中にあって、若年者の流出に歯止めをかけ、労働力人口を確保していくためには、目安に上乗せした金額で改定すべき」とした。
秋田県の人口減少率は昨年、全国最大の6・2%を記録。労働局によると、「地域間格差への対応について、公益・労使の間に認識の差はない」という。
●全国最低は避けたい
翌6日には山形地方最賃審が目安プラス1円を答申した。822円となる見通し。審議会の総意として、全国最低額になることは避けたいとの思いが作用したという。
山形地方最賃審では、他県の様子を見るために特別専門委員会を設置。秋田でプラス2円が出たのを見て決めた。目安通り引き上げたと仮定した場合の全国最低額を2円上回る。使用者側は反対した。
同県では宮城、福島両県への流出が多く、労働側は県外流出への歯止めや、一人親家庭の貧困拡大を防ぐためにも目安の上乗せが必要と主張していた。
コメントをお書きください