日本原水協などの実行委員会は8月2~9日、原水爆禁止2021年世界大会をオンラインで開いた。海外の大使や活動家が発言し、核保有国の核軍備増強に対する危機感や北東アジアの非核化に向けた提案を語った。大会では、核兵器禁止条約を批准する政府を実現するために、今秋の総選挙で政治変革を呼び掛ける声明を確認した。
来年開催予定の核不拡散条約(NPT)再検討会議で核軍縮委員会議長を務める予定のサイエド・ハスリン・アイディド氏(マレーシア国連大使)が、ナガサキデー集会で最近の世界情勢を報告。「核軍縮の後退を懸念する。核保有国はNPT第6条(核軍縮への交渉義務)を履行しなければならない。多国間軍縮による管理体制の崩壊の危機が迫っている。一日も早く核兵器は廃絶されるべきだ」と述べた。
核兵器禁止条約の第1回締約国会議(来年3月に延期)の議長に就任予定のアレクサンダー・クメント氏(オーストリア大使)はヒロシマデー集会で発言。「核兵器の脅威は冷戦時代より大きい」という専門家の警告を紹介し、すべての核保有国が大規模な核兵器近代化プログラムを進めていると警鐘を鳴らした。締約国会議では「核兵器の非人道的結末とリスクへの認識を再び高めるような強力な政治的メッセージを発信したい」と語った。
NGOの国際平和ビューロー運営委員のイ・ジュンキュ氏(韓国)は、国際会議で「北朝鮮の核問題は北東アジアの情勢を不安定にする要因であり軍備競争の口実にされている。朝鮮戦争終結、平和協定の締結、米朝関係の正常化を含む平和体制の確立が重要だ。北東アジアの非核化は、北朝鮮の核問題、米国、中国、ロシアなどの核戦略、韓国や日本が依存する米国の『核の傘』問題を合わせて扱う枠組みを作る必要がある」と提案した。
主催者声明は、核兵器禁止条約の発効に触れ、批准が広がれば核保有国や核依存国は国際的に包囲されると指摘。「核兵器を使わせず、完全廃絶へと前進するためには核保有国や核依存国の政治を変えることが欠かせない」と述べ、秋にも行われる総選挙が転機になると参加者に行動を呼びかけた。
〈写真〉「核被害者への支援と環境の回復というテーマは締約国会議の議論の焦点の一つ」と話すクメント氏(8月6日、ヒロシマデー集会)
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