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    被爆地の「空気感」伝えたい/今夏の核兵器廃絶の取り組み

     広島と長崎に原爆が投下されて76年の今年、核兵器廃絶を求め、8月に大規模な集会を開いてきた労組や団体は新型コロナウイルスの感染「第5波」を受け、昨年同様に規模縮小やオンライン開催を余儀なくされている。そんな中、今年は被爆地の「空気感」を伝えようと努力している。

     

    ●ナガサキ集会は開催/連合

     

     連合は広島県内の感染状況が予断を許さないことから「平和ヒロシマ集会」などの開催を見送った。代わりに神津里季生会長や国際労働組合総連合(ITUC)のシャラン・バロウ書記長のメッセージなどを収録した動画をインターネットで配信する。同日、原爆ドーム前で行われる「連合・原爆死没者慰霊式」の様子を動画配信サイト「連合チャンネル」の「あつまれ!ユニオンスクエア」で生中継する予定。

     「平和ナガサキ集会」については開催する方向。緊急事態宣言などが発出されている地域からの参加を取りやめ、全国で視聴できるようにライブ配信する予定だ。

     連帯活動局の森啓記局長は「核兵器禁止条約発効後、初めての集会であり、被爆地広島での開催を最後まで追求したが新型コロナ感染の急拡大により断念した。長崎では感染状況が違うため開催できると判断した」と語る。

    【平和行動in広島】動画配信:8月5日午後3時~

    【平和行動in長崎】集会ライブ配信:8月8日午後3時半~

     

    ●ライブ配信で体感を/原水禁

     

     原水爆禁止日本国民会議(原水禁)も早くから被爆地での「原水爆禁止世界大会」の開催を計画していた。新型コロナ感染の急拡大により、開催日程を短縮し、参加者を組織や団体の代表に限定せざるを得なくなった。昨年は事前に動画を作成し配信したが、今年は「被爆地での空気感を体感することが必要」という声に応えて、会場の様子が伝わるようにライブ配信する予定だ。

     北村智之事務局長は「核兵器禁止条約の発効や核不拡散条約(NPT)再検討会議、福島の東京電力原子力発電所事故から10年など、今年は節目の年。運動の原点である被爆の実相を学ぶ機会も保障した」と話している。

    【福島大会】開会行事:7月31日午後1時~

    【広島大会】開会行事:8月5日午前10時45分~/閉会行事:8月6日午前9時半~

    【長崎大会】開会行事:8月8日午前10時半~/閉会行事:8月9日午前9時~

     

    ●締約国会議から参加/日本原水協

     

     原水爆禁止日本協議会(日本原水協)は完全オンラインで「原水爆禁止世界大会」を開催する。世界各国をインターネットでつなぎ、海外活動家や政府代表が発言する。来年オーストリア・ウィーンで開催予定の核兵器禁止条約第1回締約国会議の議長に就任予定である、アレクサンダー・クメント氏(オーストリア)や、NPT再検討会議で核軍縮問題を扱う主要委員会の議長を務める予定のサイエド・ハスリン・アイディド氏(マレーシア)が参加する。

     高草木博代表理事は「関連行事の『被爆者との連帯のつどい』に関心を寄せてほしい。被爆者は高齢となり直接、話を聞く機会が少なくなる。原爆投下の日に被爆地から被爆者の声を届けたい」と語っている。

    【ヒロシマデー集会】8月6日午前10時~/被爆者との連帯のつどい:同日午後2時~※事前登録が必要

    【ナガサキデー集会】8月9日午前10時~/被爆者との連帯のつどい:同日午後1時~※事前登録が必要