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    派遣先相手に勝利和解/朝日放送ラジオ・スタッフユニオン/使用者性判断、支援の輪が力に

     ラジオニュース原稿の仕上げ業務に従事していた派遣スタッフ5人が、派遣先である朝日放送ホールディングスに対し、派遣契約打ち切りの理由を示すよう求めていた争議が7月12日、中央労働委員会で和解が成立した。解決金として労働組合に600万円支払うという内容。大阪府労働委員会は昨年2月、同社の使用者性を認め、再発防止の文書手交を命じていた。

     府労委の命令書などによると、派遣労働者として働いていたスタッフらは2011年、旧朝日放送(再編前の母体)の意向を受け、資本金1円の「派遣会社」を設立。その会社を通じて勤務し、16年には株式会社化の求めにも応じたが、会社再編を機に18年3月末で「業務委託契約」を打ち切られ、失職した。5人は契約解除の前に民放労連朝日放送ラジオ・スタッフユニオンを結成し、解除の正当な理由を示すよう求めていた。

     和解は、中労委の勧告に双方が応じた。職場復帰はかなわなかったが、和解額の水準は団体交渉応諾を争う事件としては高額だという。

     河村学弁護士は和解について「経験豊富な労働力を確保したいが、直接雇用にはしたくないために労働者に派遣会社をつくらせた事案。派遣会社の実態のなさを指摘し、派遣先の使用者性を認めた大阪府労委の命令が大きい。会社としては、これ以上騒ぎを大きくしたくない、裁判に持ち込んでも負けるかもしれないという判断があったのではないか」と話す。

     

    ●ユニオンを継続

     

     5人は、外部スタッフという、支えを受けられない立場で3年半前に組合を結成。朝日放送社前での座り込み、街頭宣伝を約2~3週間に1度のペースで行い、株主である朝日新聞への要請など、訴え続けた。関西MIC(マスコミ文化情報労組会議)や民放労連近畿地連が全面支援した。

     吉岡雅史委員長は「孤立無援の状態から支援の輪が広がっていった。暗中模索だったが、今振り返れば全てがプラスになったように思う」と話す。

     争議はこれで一区切りだが、スタッフユニオンは今後も続ける。非正規として働く人々の受け皿になるとともに、放送業界や会社への監視を続ける考えだ。吉岡委員長は「非正規で働く人たちの権利確保、地位向上のために取り組みたい。それが、これまで支援をしてくれた人々への恩返しになる」と話している。