建設アスベスト訴訟の原告や弁護団、支援組合などでつくる「全国連絡会」は6月16日、都内で集会を開いた。800人が参加し、国との和解や被害者救済制度創設が実現したことを「他に類を見ない歴史的成果」と喜び合った。和解を拒む建材メーカーとの闘いについての決意もあった。
最初の提訴から関わる小野寺利孝弁護士は、最高裁判決から「給付金制度」法成立まで、23日間という異例の速さで実現したことに触れ「歴史的成果だ。みんなのがんばりによる勝利」と語った。
今回、実現した「給付金制度」は最高裁判決の水準を超えて原告の要求が実現した項目がある。高裁までのほとんどの判決は、国の責任割合を3分の1としたが、給付金制度では2分の1まで引き上げた。後続の原告を含む和解基準額は、大阪泉南アスベスト訴訟を機に始まった、石綿紡織工場の被害者救済金と同じ額で、未提訴の被害者にも給付金制度から同額が支払われる。
課題は、和解を拒否し、今後も裁判で争う姿勢を崩さず、給付金制度への出資を拒む建材メーカーへの責任追及だ。小野寺弁護士は「全国的な闘いを起こす。強い抵抗が予想されるが社会的責任を果たさせる」と決意を表明した。他の弁護士らからも「メーカーを相手取った全国規模での大量提訴を」との発言が相次いだ。最高裁判決で救済対象から外された屋外作業者、認定期間から外れた被害者救済への課題もある。来春の「給付金制度」法の施行後、すぐに法改正を視野に取り組むという。
●建設労組の力、大きい
給付金制度についての法案をとりまとめた野田毅衆院議員(自民党)は「今国会でどうしても実現したいという弁護団の要請を何度も受けて、針1本落ちても聞こえるくらいの張り詰めた状況で法案をまとめた。これで終わりではない。全面救済に向けてしっかり取り組む」と述べた。
全国連絡会の清水謙一事務局長は、こう語った。
「最高裁判決が言い渡された原告は約500人、後続する裁判の原告は約700人、1200人もの命をかけた闘いが約3万人を超える未提訴被害者への救済の道を開いた。訴訟を支えてきた建設労組の力は大きい」
〈写真〉最高裁判決で勝訴した建設アスベスト訴訟の原告や労組が集会。建材メーカーに和解と基金への参加を要求しました(6月16日、東京)
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