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    「歴史的な春闘だった」/JAM春闘の中間総括/コロナ禍でも賃上げの流れ継続

     中堅・中小の金属製造業労組でつくるJAMは5月28日、「賃上げの流れは継続している」との春闘中間総括を、中央委員会(オンライン)で確認した。公正取引実現などを求める政策制度要求の原案と組織変革プロジェクト骨子案も示された。

     定期昇給相当分が分かる727組合のうち、333組合が賃金改善分(ベア)を獲得。獲得組合数では前年同期比63組合の減だが、改善分の平均は1306円で、若干増えている。100人未満の小企業の改善分が1462円と最も高い。定昇相当分と改善分を合わせた総額は、妥結平均で4763円と同88円の減だ。

     安河内賢弘会長は「感染拡大で厳しい中、先行する大手労組が『賃上げの流れを止めない』という状況をつくり出した。これを受けて、中小労組が『1日8時間働けばしっかり飯を食える賃金』を目指して、絶対額にこだわり、粘り強い交渉で結果を出した。『これが春闘だ』という姿を示すことができた『歴史的な春闘』だったのではないか」と述べた。

     中間総括は「2014年以来の賃上げの流れは継続している」と指摘。水口雅文労働政策委員長は「労働時間規制と併せて、賃金の絶対水準にこだわる取り組みをいかに進めるかが課題だ。残業の減少で手取り額が減り、所定内賃金の水準の低さが浮き彫りとなった。生活不安をなくし、企業の魅力を損なわないよう、あるべき水準の議論を進めることが重要」と強調した。

     独占禁止法や下請け法の強化、企業の採用募集の際に「30歳標準賃金」を盛り込む取り組みなど、政策制度要求の原案を確認。組合員の当事者意識を高め組織活性化を図るなどの「組織変革プロジェクト」討議案骨子も提示した。