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    最賃の大幅引き上げを/国民春闘共闘委/「東京も沖縄も1500円必要」

     全労連や純中立労組でつくる国民春闘共闘委員会は5月31日、今年度の地域別最低賃金額を決める改定審議が始まるのを前に会見を開き、大幅な引き上げと全国一律最賃制の実現が必要と訴えた。

     小畑雅子代表幹事(全労連議長)は「昨年度の引き上げ平均1円は低すぎる」と述べ、今年度の改定では大幅引き上げを訴えた。新型コロナ禍で危機的な経営状況にある中小企業への支援策と一体で進めるべきとも語った。全労連は社会保険料の使用者負担減免や公正取引の実現などを盛り込んだ「提言」を策定している。

     最賃額が全国で最も低い沖縄(792円)の現状について、沖縄県労連の嶺間信一事務局長は、県内の小中学生の相対的貧困率が25%で、全国平均の約2倍に上ると述べた上で、「親が必死に働いても貧困から抜け出せない。時給792円では社会保険料などを差し引くと月12万円にもならない。普通に暮らすためには最賃額を2倍に引き上げる必要がある」と訴えた。 全労連の地方組織による「最低生計費調査」を支援してきた中澤秀一静岡県立大学准教授が、現行の最賃制度の問題点を解説した。調査結果から、東京と、自動車の保有が必要な沖縄の最低生計費はほとんど変わらないと述べ、「どちらも時給1500円以上が必要」と指摘。低すぎる現行水準の改善と、地域間格差の解消が必要と語った。

     

    〈写真〉「最賃額の引き上げは男女間格差を是正する上でも重要」と話す小畑代表幹事(5月31日、都内)