電機・情報関連産業の労働者でつくる個人加盟の「電機・情報ユニオン」は5月27日、40代男性(組合員)が受けたパワハラへの謝罪と加害者の処分を求めて、三菱電機本社に団体交渉を申し入れた。同社は昨年1月、パワハラ対策を打ち出している。男性は「会社の体質は今も変わらない。過去の自分へのパワハラをなかったことにしたくない」と、同日開いた会見で訴えた。
愛知支部の成木彦朗委員長は「パワハラの発端は上司の不正。実態を明らかにしたい」と話した。
●追い出し部屋にも
男性によると、発端は上司が設備導入をめぐり業者から過度な接待を繰り返し受けていたという「不正行為」。男性も平日に有給休暇を取らされ、接待旅行に同行させられたという。導入された設備は不具合が多く、男性は対応に追われ、体調不良が続いて2010年に休職。休職中も上司から「休んで申し訳ないと思わないのか」と復職を迫られ、11年に無理やり復帰するも机にうつむいて座るのが精いっぱいだったという。
さらに休職と復職を繰り返したが、「追い出し部屋」に異動させられ、体調悪化で体重が20キロ落ちて13年、再び休職に追い込まれた。
●「やっと前を向ける」
男性は16年に復職を果たし、現在は別部署で働いている。過去のパワハラを認め、謝罪してほしいと人事部、会社内の労働組合、労働基準監督署、産業医、内部通報制度の社外窓口(法律事務所)、異動先の上司などに相談したが、ことごとく不問にされたという。会社内の労組は「会社に矛先を向けない方がいい。個人で弁護士を雇ってやって」と言われたと話した。
その後、愛知県労働組合総連合(愛労連)にたどり着き、昨年11月、電機・情報ユニオンに加入し「やっと前を向けるようになった」と語った。
●団交で改善求めたい
三菱電機では19年に新入社員がパワハラを受け自殺したことが大きく報道された。以前にも同様のケースが相次いでいた。同社はその実態を受けて昨年1月に「職場風土改革プログラム」を立ち上げ、「パワハラ行為を絶対に許さない職場づくりに注力する」とアピールしていた。
男性は「パワハラがあれば上司、人事部、労組、内部通報窓口に相談することになっているが、私は相談したことで追い詰められた。会社の体質を団交で改善させたい」と話した。
〈写真〉「団交を通じてまともな職場にしていきたい」と話す成木彦朗愛知支部委員長(右)と米田徳治中央委員長(左、5月27日、都内)
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