米軍・自衛隊の基地や原発などの周囲に住む住民を監視し、当該施設の「機能」を阻害したとみなせば刑事罰を与えることができる法案が5月11日、衆議院で審議入りした。日本平和委員会など8団体は13日、国会内で学習・抗議集会を開き「憲法の平和主義や基本的人権を踏みにじり、私権制限と運動弾圧をもたらすもの。廃案にすべき」と訴えた。
名称は「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案」で、土地利用規制法案などと略されている。政府は5月19日と20日の審議で委員会採決を狙っている。
自民党内では、中国など外国の資本による基地周辺などの土地買収が対象と説明されているが、法案は対象を限定していない。周辺1キロ以内の土地や建物を広く指定。そこに住む住民の個人情報を収集し、当該施設の「機能」を阻害したり、その恐れがあると判断すれば、刑事罰を科すことを可能としている。
自由法曹団の馬奈木厳太郎弁護士は「刑事罰を科す場合は具体的な『行為』を対象とするべき。『機能』というあいまいな規定では対象は無限に広がる」と懸念を表明。どんな罪で誰を処罰するかを、丸ごと政府に委ねるのは危険過ぎると警鐘を鳴らした。
各地の平和委員会からは、基地の監視や抗議活動の弾圧に使われるのではないかとの指摘が相次いだ。8団体は「法案の危険性を早急に広く知らせる必要がある」と訴えた。
コメントをお書きください