性的少数者(LGBT)に関する法整備を進める動きが今国会で強まっている。自民党案と野党案に基づく議員立法を制定する方向だが、当事者団体は「差別禁止」を明記した平等法を求めている。
自民党の性的指向・性自認に関する特命委員会(委員長・稲田朋美元防衛相)は4月に「理解増進法案」の要綱をまとめた。野党は2018年に当時の立憲民主党や国民民主党、共産党など野党6党・会派で「差別解消を推進する法案」を衆院に共同提出。与野党の議員有志は調整した上で議員立法として今国会での成立を目指している。
当事者や支援団体は4月27日に集会を開き、差別禁止を規定した平等法制定を強く求めた。既に10万6千筆を超える署名を与野党の国会議員に提出している。
●命を守る法律が必要
LGBT法連合会の林夏生代表理事は、集会で「当事者の声が社会に届き、多くの自治体で取り組みが始まっている。一方で、差別は残っている。だからこそ法整備が必要」と訴えた。
アウティング(暴露)により15年に命を失った一橋大学大学院生の遺族は「(LGBTであるという)個人情報が差別の対象となる社会ではアウティングが人を死に追いやるほどの危険性を伴う。LGBTの25%がアウティングを経験したという調査結果がある。実効性ある法律で命を守る仕組みが必要だ」と訴えた。
〈写真〉多くの報道陣が駆け付け、超党派「LGBT議連」の馳浩会長(自民党衆院議員)があいさつした(中央、4月27日、国会内)
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