製造、流通、サービスの労組でつくるUAゼンセンは4月6日、3月末現在の妥結状況を公表した。402組合の正社員の賃上げ(定期昇給相当分込み)は単純平均で5274円(1・97%)。昨年同時期の全体集計と比べ千円以上低いが、今年の先行371組合の対前年比較は79円の微減と、「ほぼ前年並み」を維持している。休日6日増やカスタマーハラスメント対策など働き方の改善でも労使合意が報告されている。
116組合によるパート労働者の時給引き上げは同23円(2・24%)。法定最低賃金が据え置かれた分、昨年を下回ったが、賃上げ率では正社員を6年連続で上回っている。
●賃上げ停滞は底打ち
3月末までに447組合が妥結した。松浦昭彦会長は4月6日の会見で、賃上げの継続や、格差是正にこだわる交渉の流れも大きくは変わっていないと報告。4月以降に控える中小労組の交渉でも同じ姿勢で取り組み、未組織職場に波及させる意気込みを語った。
賃金体系維持分が明確な193組合のベースアップ分の平均は1239円(0・44%)。前年比で206円、0・12ポイントの微減となっている。
妥結額を部門別でみると、コロナ禍の下で堅調な流通97組合の6割強が昨年の水準を超え、同一組合比較で昨年比594円のプラスに。食品スーパー、家電量販店、食品製造で425~912円のプラスを示している。
業績が厳しい地方の製造業が多い300人未満の中小労組も同一組合比較で226円の減と、減少幅を抑えているという。
今後、中小労組の交渉が控えている。松浦会長は「昨年の4月は交渉どころではなく、緊急避難的に定昇確保のみで収めた組合もあった。そういう組合がこれから交渉を迎える。昨年と比べて妥結平均の下がり方はマイルドになるだろう」と下げ止まりに期待を示す。
●営業時間短縮も
働き方の改善では、「年間休日6日増、年2回7日以上の連続休暇の完全取得」(セブン&アイ労連 セブン&アイ・フードシステムズ労組)など36組合が休日増・労働時間短縮で労使合意した。賃金単価を上げる実質の賃上げといえる。
「勤務間インターバルを10時間から11時間へ延長」(いなげや労組)、「60店舗で営業時間を短縮」(上新電機労組)などが報告されている。
65歳定年制や、70歳までの就業確保措置、在宅勤務手当1日当たり200円支給、消費者による悪質クレームなどカスタマーハラスメントへの対策、LGBT(性的少数者)の権利保障問題への対策など、多様な取り組みが展開されている。
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