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    Q&A/社会復帰を阻害するだけ/厳罰化進める少年法改正案

     今国会で審議されている少年法改正案に対し、裁判所の職員でつくる全司法労働組合や刑事法研究者から反対の声が上がっている。何が問題なのだろうか。

     Q 法案の中身は?

     A 罪を犯した18歳と19歳を、少年法による必要な保護の対象から外し、厳罰化を進めるのが柱だ。同法は未成年の非行・犯罪について、全員を家庭裁判所に送り、調査・教育を経て社会復帰させることを目指している。例外として殺人などの凶悪犯罪の場合は成人と同様、検察に送り返す。改正案は(1)検察に送り返す対象を強盗や強制性交、放火、公文書偽造などに広げた上で(2)犯罪予備軍を教育指導する「虞犯(ぐはん)」の制度を適用できなくし(3)実名報道も解禁する。

     Q なぜ18歳と19歳?

     A 成人年齢を18歳に引き下げる民法改正(22年4月施行予定)に伴う措置だと説明されている。18歳と19歳は成人になるのだから、少年法で守る必要はないという理屈だ。

     Q 成人としての自覚と責任が必要?

     A 少年犯罪と向き合っている家裁調査官などの実感では、この年代はまだ成長発展段階にあるという。少年は教育や寄り添い支援によって更生する可能性が高く、処罰が目的の検察送りでは更生する機会を奪ってしまう。再犯防止を期待しにくくなるし、ひいては社会復帰が難しくなる。

     Q 関係者はどう言っている?

     A 家裁調査官などを組織している全司法は「現行少年法は有効に機能している」と指摘し、法改正に反対だ。刑事法研究者148人(3月29日段階)も「厳罰化に少年犯罪対策上のメリットはない」として、法案反対の意見を発表している。現場や専門家の意見を踏まえて対応してほしい。