新型コロナ禍の下、今後雇い止めになる契約社員の雇用継続を労組が求めていた、情報通信大手KDDIでの春闘交渉がこのほど決着した。雇用継続はかなわなかったものの、関連グループ会社の求人紹介など、会社による既存の再就職支援を拡充する。
同社では、携帯電話販売やコールセンター業務に携わる契約社員に一律5年の雇用上限を設けている。KDDI労組(情報労連加盟)はコロナ禍で雇用情勢が厳しくなる中、今後雇い止めになる人のうち、希望者については、雇用を継続する人道的配慮を今春闘で要求していた(本紙3月6日付既報)。
しかし、会社側は、正社員と契約社員の業務が明確に区分され、契約社員は限定的な業務に従事しているなどとして、上限5年を超えることになる雇用継続の要求は認めなかった。
一方、関連グループ会社の求人紹介など既存の再就職支援の拡充を約束している。これまで数社だった求人紹介を、数十社に増やし、再就職の間口を広げるという。
同労組の役員は「残念だ。コロナ禍で会社の英断を期待したが、かなわなかった。とはいえ、雇用を失い、働き口もないというリスクを一定緩和することができたのではないか」と話す。
雇い止めとなる契約社員の雇用を1日でも継続すると、無期雇用に転換する権利が生じる。そのため会社側のガードは堅かった。
今回の要求は暫定的な救済措置だが、同労組は無期転換すべきとの姿勢。前述の組合役員は「このままでいいとは思っていない。経済合理性だけで判断する会社をどう動かすか。解決策を考えていきたい」。
コメントをお書きください