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    〈建設アスベスト被害救済を!〉「作業場所で線引きするな」/京都1陣訴訟/最高裁弁論で遺族原告が主張

     最高裁は3月22日、建設アスベスト京都1陣訴訟(原告25人)の上告審弁論を開いた。「屋外作業」従事者を救済した2審の判断が見直される可能性がある。原告らは「アスベストによる被害は明らか。屋外、屋内など作業場所によって救済の線引きをするな」と訴えた。

     建設現場でアスベストを吸い込み、中皮腫など重篤な病気になったとして、元建設従事者と遺族が国と建材メーカーを相手に争っている裁判。東京1陣、京都1陣、大阪1陣の最高裁判断で国と建材メーカーの責任が確定する中、屋根工や外壁工など「屋外作業」従事者の救済は対象から外されている。

     京都1陣でも、最高裁は木村正男さん(故人・板金、屋根工)について、「屋外作業」を理由に異議を唱える国と建材メーカーの上告を受理した。

     

    ●顔との距離、30センチ

     

     福山和人弁護団事務局長は上告審弁論で、全建総連の調査(2009年)ではアスベスト関連疾患の発症率は屋根工が3位、東京土建の調査(13年)では1位。屋根工はアスベスト疾患を発症する最も危険な職種の一つだと主張した。

     屋外での作業は通気も良く被害が少ない印象があるが、実際には電動工具で微調整するため、顔を近づけて作業せざるを得ず、アスベストを含む粉じんを直接吸い込む。福山弁護士は「木村さんは腰が悪かったため片膝をついて電動工具を使っていた。顔と工具との距離は約30センチで顔が真っ白になるくらいの粉じんを浴びていた」と述べた。

     

    ●作業服は毎日真っ白/遺族の木村慶子さん

     

     木村正男さんの妻で遺族原告の慶子さんが最高裁上告審弁論で意見陳述した。要旨を紹介する。

         〇

     主人の(アスベストによる病気だという)訴えが認められないなら、私は納得がいきません。仕事から帰宅した主人の作業服は毎日(粉じんで)真っ白になっていました。だからこそ中皮腫になったのです。主人は目の前でアスベストの入った建材を加工していました。どうか、私の主人を(救済対象から)切り捨てないでください。主人と一緒に苦しんできた私の願いです。切に切にお願いします。

     

    〈写真〉会見で弁論の感想を話す遺族原告の木村慶子さん(中央・3月22日、都内)