新型コロナウイルス感染の収束が見通せない中、困窮者支援に奔走している反貧困ネットワーク事務局長の瀬戸大作さんが「年明け以降、住まいを追い出された若者たちが急増。『死のうと思った』というSOSが相次いでおり、状況が一層悪化している」と警鐘を鳴らした。住宅政策について、急いで改善することが必要と訴えた。
3月18日に都内で開かれた「年越し支援・コロナ被害相談村シンポジウム」での発言。シンポは、昨年末から行われた、さまざまな支援活動を振り返りながら、雇用と貧困に関わる政策提言につなげる目的で実施された。
瀬戸さんは「新型コロナ災害 押し寄せる生活の危機」のタイトルで、支援の現状について報告した。昨年、38団体で「新型コロナ災害緊急アクション」を立ち上げ、相談だけでなく、駆け付け型の支援を開始。「反貧困ささえあい基金」も設立して、当座のお金を給付してきた。
シンポに参加している間にも、パソコンには困窮者からのSOSが入った。「これが終わったら新宿に駆け付ける。私は〃金配りおじさん〃などと呼ばれるが、お金がなければ死んでしまう人たちがいっぱいいる。政府のずさん過ぎるコロナ対策の結果だ」
●公営住宅の要件緩和を
住まいを失う若者が少なくないことに言及し、住宅政策の改善を提起した。
具体的には(1)60歳未満単身者の入居を認めないなどの公営住宅の要件緩和(2)住宅確保給付金を普遍的な家賃補助制度に転換(3)路上生活者のための個室型緊急シェルターの整備(4)悪質な無料低額宿泊所やシェアハウスの査察と廃止(5)賃貸住宅の入居差別や追い出し行為を禁止する条例の制定――などを提起した。
瀬戸さんは、ネットカフェ暮らしをしているのは20~40代が多いとし「この世代を受け入れる公営住宅制度があれば、随分救われるはずだ。災害救助法を応用し、民間の空き家・空き室を借り上げる「みなし仮設」方式の住宅支援の導入も考えられる」と述べた。
シンポの最後には、こう訴えた。
「路上にいる全ての人にカネを配れと言いたい。そして公営住宅を用意することだ」
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シンポはコロナ被害相談村実行委員会が主催し、オンラインでも配信した。新型コロナ災害緊急アクションと日本労働弁護団が共催・後援した。雇用が不安定な非正規労働者、女性、外国人労働者の課題についても議論、政策のあるべき方向を模索した。
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