東京地場の運送会社労使による2021春闘・集団交渉で3月10日、11社のうち4社が前年実績を超え、5社がほぼ前年同額を回答し妥結した。コロナ禍で交渉環境は厳しいが、残業が減ったことによる実収入の減少や人手不足、労使関係を踏まえれば、経営側が一定応じなければならない状況にあると、関係者は指摘する。
集団交渉は、11社の経営側を一堂に集め、各社ごとに回答を引き出していく。低額回答をけん制しつつ、相場を引き上げる効果が期待される。東京では47年続いているという。
ストを構えた10日の第3次回答では、11社中4社が前年を50~200円上回る額を示し妥結した。5社が前年同額・同率で2社が割り込んだ。妥結額は2018円を筆頭に千円台。大手と比べれば低いが、「コロナ禍で厳しい中、ほとんどが前年同額・同率かと推測していたが、思った以上に健闘している」と、建交労首都圏運輸基本集団交渉団の上村誠団長は話す。
その背景について「コロナ禍で残業ができず、時間外手当の減少が、収入を直撃している。24年度には労働時間短縮の法整備が予定され、今から着実に賃金を上げていかなければ『運転手離れ』を引き起こすという懸念もある。労使関係を考えれば(賃上げが)全くだめというわけにはいかないだろう」と振り返る。
労災補償の上積みやコロナ感染時の休業補償など制度課題についても、前進回答が報告されている。
ただ、経営側からは、燃料代が上昇傾向にあることや、大手から受注した仕事での価格引き下げへの不安も聞かれたという。
厳しい時だからこそ、真摯(しんし)な労使交渉と、地域の相場づくりが必要であることを示している。
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