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    「『誰か、助けて』と叫びたい」/医療、介護現場からの実態告発

     全労連などが3月4日、都内で医療、介護、福祉体制の拡充を求める集会を開き、看護師や保健師からコロナ禍の下で切迫した現場の実態が報告された。

     

    ●退職者相次ぎ悪循環/愛知県の看護師

     

     「激務で疲労感が強い。もう辞めたい」と思っている人が多い。下半期には40人が退職すると聞いている。1月の夜勤回数を労組で調査したところ、看護師の中でも新型コロナの感染者が出たために人手不足となり、月9回となった人がいた。もう看護崩壊だ。1日1日を必死でこなしている。労働時間が1日20時間にもなる人もいる。

     病院側は一般病棟を閉鎖して人手不足を補おうとしているが、さらに病院収入は減るだろう。昨年の冬季一時金は減額された。病院の減収で一時金が減額されると、耐えきれずに退職する人が増え、人手不足で経営が立ち行かなくなり、さらに減額されるという悪循環。「誰か、助けて」と叫びたい。

     

    ●低賃金では増えない/千葉県の介護関係者

     

     介護の現場は密着が避けられず、新型コロナ対策をしていてもクラスターが多発している。職員の緊張状態は長期化し限界を感じて退職する人が増えている。ある訪問介護事業所ではヘルパー7人が退職し、新しい利用者を受け入れることができなかった。

     ヘルパー自身も高齢化し、家族から「新型コロナに感染すると重症化する可能性があるから、仕事を辞めてほしい」と言われた人もいる。訪問介護の求人を出しても応募者はいない。安心して働き続けられる支援と整備が必要。こんな低賃金では働き手は増えない。

     

    ●休みがほしい/東京都の保健師

     

     保健師も新型コロナに感染した人の対応で防護服を着ている。防護服は一度着るとトイレにも行けず、水分補給もままならないので、食事や水分を取るのを制限している。そのために脱水症状やめまい、下血を起こした人もいた。人手不足の中、職場全体が激務で、妊娠を伝えると「戦力離脱」になるため言い出せず、周りに気づかれないよう必死で働いたという人もいた。

     昨年末から新型コロナ感染者がさらに増加した。400人の入院調整を求められたが、40人しか入院できない事態が何度もあった。入院を希望されても、どうすることもできず2時間、話を聞くしかなかった。

     夜11、12時まで働き、終電に間に合わずタクシーで帰る日々。過労死ライン月80時間はとっくに超えている。今の本音は「休みがほしい」