主に内需産業の労組でつくるUAゼンセンは3月3日、要求集約状況(2日現在)を公表した。正社員の要求額の平均は定期昇給相当分込みで8447円(3・21%)。昨年を下回ってはいるが、外食などコロナ禍で業績が厳しい組合も要求している。中小労組、パートの引き上げ率が、中堅・大手の正社員を上回っているのが特徴。
同日までに、正社員では391組合、パート労働者については166組合が要求を提出した。
正社員の要求平均を規模別でみると、300人以上が8790円(3・17%)だったのに対し、300人未満は8075円(3・25%)と引き上げ率で上回る。部門別では、製造、総合サービスで昨年を1700円前後下回るが、食品スーパーや家電量販店が好調の流通部門はほぼ昨年並みだ。
相場けん引役である中核組合では、紡績関連の9組合が2千円のベアを統一して要求。家電量販の上新電機労組の1万513円(ベア7120円)、スーパーの万代ユニオン1万1763円(同7023円)などが目を引く。すかいらーくやサイゼリヤなど外食産業の労組も賃上げを要求している。
松浦昭彦会長は「外食産業でベアを要求するのは大変なこと。悩み苦しんだ末の要求だ」と健闘をたたえつつ、今後の妥結判断については「業績の幅がある中で、元気のあるところを見ていくべき」と相場形成への決意を示した。
●格差是正を継続
パート労働者の時給引き上げ要求の単純平均は35・2円(3・58%)。前年と同組合比較で7円弱下回るが、引き上げ率では5年連続で正社員を上回るなど格差是正の取り組みは継続している。
昨年10月の法定最低賃金改定がほぼ据え置かれたことに触れつつ、古川大書記長は「パート労働者は流通、外食産業の中心であり、エッセンシャルワーカーでもある。最賃が上がらなかった分、積極的に時間給引き上げに取り組まないといけない。要求はそうした思いの表れだ」。
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