「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    与党含めオブ参加に前向き/核兵器禁止条約の締約国会議/NGO連絡会の討論会で表明

     核兵器禁止条約を批准した国が来年1月までに開く予定の締約国会議。日本がオブザーバーとして参加することに、与党を含む主要政党の議員が前向きな発言をしている。2月12日に核兵器廃絶日本NGO連絡会が開いた政党討論会で、自民党の国会議員が「日本政府はオブ参加を目指すべきだ」と主張。公明党や野党も賛成を表明した。

     日本政府は同条約に不参加の立場。菅義偉首相は国会で「(同条約に)署名する考えはない」と表明、締約国会議へのオブ参加についても「慎重に見極める必要がある」と発言している。

     同条約は今年1月に発効し、1年以内にオーストリア・ウィーンで第1回締約国会議が開かれる予定だ。

     

    ●与党から積極的意見

     

     自民党の寺田稔衆院議員(党被爆者救済と核兵器廃絶推進議員連盟代表世話人)は「(締約国会議は)被爆者の核兵器廃絶への強い思いを発信する場だ。核保有国と非保有国の仲介役として(日本政府は)オブ参加を目指すべきだ」と述べた。党内の状況については「議連50人全員は同じ意見。党内バランスでいえば半々だ」と答えた。

     公明党の浜田昌良参院議員(党核廃絶推進委員会座長)は「当面はオブ参加して積極的に貢献する。中長期的には同条約に署名・批准できる環境を作り出すべきだ。同条約の実効性を担保するために日本が貢献できる分野が数多くある」と話した。

     

    ●国会で論議を

     

     立憲民主党の岡田克也衆院議員(党核兵器のない世界を目指す議員連盟会長)は「オブ参加は当然すべき。(締約国会議に)参加することで見えてくるものがあるはずだ。日本の役割も果たせる」と述べた。

     国民民主党代表の玉木雄一郎衆院議員は「オブ参加は積極的にやるべきだ。発言権がしっかり確保できる条件を作ることが大事だ」と語った。

     共産党委員長の志位和夫衆院議員は同条約に署名・批准した上で締約国会議に参加すべきとの立場を表明。「日米安全保障条約の下でも同条約に参加できる」と強調した。

     社民党党首の福島瑞穂参院議員も署名・批准して参加するよう求め、「せめてオブ参加すべき。日本が参加することは世界に対しての強いメッセージになる」と訴えた。

     れいわ新選組の舩後靖彦参院議員は署名・批准を求める立場を強調。「締約国のメンバーに日本の名前がないのは不名誉なこと。政治的意思で決断できる」とメッセージを寄せた。

     日本維新の会幹事長代理の足立康史衆院議員は「本質的な議論を国会で行い、その立場を発信するためにオブ参加するなら賛成だ」と話した。

     司会を務めた核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の川崎哲国際運営委員は「討論会に参加する全政党から締約国会議へのオブザーバーを含めた参加について、極めて前向きな発言があった」とコメントした。

     

    〈写真〉討論会には各政党の代表とともに、日本被団協の田中煕巳代表委員や目加田説子中央大学教授も参加した(2月12日)