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    改善要求は「2千円以上」/電機連合

     電機連合は21闘争で、開発・設計職の基幹労働者について、2千円以上の水準改善をめざす統一要求基準を掲げる。賃上げ継続の必要性や、新型コロナによる業績の落ち込みなどを踏まえ、賃上げ要求を続けるが、昨年までの3千円からは要求基準を引き下げた。

     電機は大手14組合が統一要求を出し、交渉最終盤には中央闘争委員会が歯止め基準を設定する。それを下回る回答が1社でも出た場合は大手労組が統一して争議行為に入るという、闘争の枠組みである。

     14闘争以降、大手は開発・設計職について累計で1万1千円の水準改善を行ってきた。同職を基準にするのは、電機関連の企業に必要不可欠な職種であるため。大手が賃上げ相場を形成し、中小や関連企業に広げていく波及効果はそれなりに高い。電機連合の資料によると、20闘争で同職の水準改善を行った264労組のうち7割強で、大手組合が引き出した千円かそれ以上の回答を引き出している。

     ただ、19闘争の際に、経営者団体の電経連から「各社労使で柔軟に(賃上げを)決定すべき」との提案を受け、20闘争から春闘回答に賃上げではない項目の回答も認めることに。一部大手で「カフェテリアプラン」(選択型の福利厚生)や年金の補填(ほてん)などの原資を回答に含めることを認めた。

     中央委後の会見(29日)で、神保政史委員長は「交渉状況による。今年も条件が整えば認めていく」との考えを示した。

     福利厚生は賃金と違い、切り下げやすい。賃上げの波及効果への負の影響も懸念される。