全労連は1月20、21の両日、都内(オンライン併用)で評議員会を開き、月額2万5千円以上、時間額150円以上などを掲げる2021国民春闘方針を決めた。新型コロナウイルス感染の急拡大で「医療や公衆衛生の崩壊ともいえる重大な局面を迎えている」として、医療・介護・福祉の充実を目指す「いのち守る署名」の活動を強化し通常国会で改善を求めていく。
方針は大幅賃上げと併せて、組織化の取り組みを重視。中小企業支援の具体化を進めながら、全国一律の地域別最低賃金制度確立と時給1500円に向けた運動も強化する。
●全活動に組織拡大を
小畑雅子議長はあいさつで経団連の「21年版経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)に触れ、ベアだけでなく、定期昇給や最賃引き上げについても否定的な見解を示していると批判。大企業の内部留保について「非常事態への備えというのなら、今こそその時だ。下請け中小零細企業支援や労働者の賃上げに使うべき」と訴えた。
黒澤幸一事務局長は20秋季年末闘争の総括を提案。コロナ禍でも諦めず闘い、産別と地域との共闘による雇用と暮らしを守る取り組みを紹介した。秋闘の教訓として「春闘の全ての活動に組織拡大を位置付ける。未組織の仲間に要求で組合加入を訴え、ともに実現を勝ち取ろう」と強調した。
●諦めずに闘う
全教の宮下直樹副委員長は今国会への義務教育標準法改正案の提出で、公立小学校全学年での「35人学級」(25年度まで順次)実現の見通しが立ったことに言及。「約500超の地方議会での少人数学級を求める意見書決議や市民との共闘が実った。不十分な内容ではあるが『声を上げれば変えられる』という成功体験になった。未組織の若い世代を仲間に迎えたい」と述べた。
いわて労連の評議員は、金属製造業の職場で昨年11月に分会が結成されたことを報告した。結成大会を開き、要求書を会社側に提出。手当など処遇の改善を勝ち取った。「分会長から『(要求が実現したことで)若い労働者の働く意欲が変わった。労働組合をつくって良かった』と言われた。仕方ないと諦めずに闘ったことで、元気に働ける職場をつくっている」と語った。
●生活保障に税金まわせ
道労連は、新型コロナの影響で飲食業を中心に中小企業が経営危機に直面している状況を語った。「これまでの延長線(の春闘)では突破できない。市民とともに『生活保障に税金まわせ』の声を挙げ、政府による『公助』を求める運動が急務だ。(困窮する人たちに軍事費などの予算を回すよう2月7日に全国一斉に取り組む)ローカルビッグアクションを大きな節目にしたい」
秋田県労連も「ローカルビッグアクション」の提起を歓迎した。相談を呼びかける全労連のチラシを住宅などに配布すると、チラシにある「あなたの声を聞かせて」欄に切実な実態が書き込まれて、メールやファックスで送られてくるという。配布した2、3日後には届き始め、現在1200通を超える。「昨春闘は新型コロナに振り回されたが、今年は地域労連と一緒に労働組合の姿を見せていく」と決意表明した。
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