全労連と共同して労働問題の調査・研究を行っている労働運動総合研究所(労働総研)が1月18日、2021春闘提言を発表した。現在の日本経済の最大の問題は需要不足だと指摘。少なくとも2000年時点の経済(需要)状況に戻すべきとし、その一環として約20年間の賃金低下分(9・26%、3万2922円)の回復を訴えている。そのための原資は22・4兆円で、企業の内部留保の一部を充てれば実現可能だという。
●内部留保の一部で可能
2000年時点の経済を重視するのは、国内総生産(GDP)成長率がゼロになる分岐点だったとの分析による。自民党の「新自由主義的経済政策」が(1)法人税減税(2)消費税増税(3)雇用の流動化・非正規化(4)社会保障の切り捨て――を進めた結果、国内需要の縮小を招いたと批判した。一方、この頃から大企業の内部留保が積み上がっていった。
労働総研は、2000年時点の賃金水準回復だけでなく、非正規労働者の比率を戻すことも主張。併せて、不払い残業の撲滅、最低賃金1500円、全労連の21春闘要求(2万5千円)実現など、需要喚起に向けた労働関係の要求も勘案し、必要な原資は日本全体で約85兆円と試算。それは内部留保の約22%で可能だとしている。
労働分野以外にも、消費税5%への減税や、法人税30%へのアップ、社会保険料引き下げなどを含めて2000年時点の需要回復を目指すべきという。
労働総研は21春闘について「賃金闘争にとどまらず、日本経済の大転換を目指す『世直し春闘』になるべきであり、その中で労働組合が果たすべき役割と責任は大きい」と訴えている。
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