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    前年同様、ベア6千円基準/JAM中央委/「賃上げを止めてはならない」

     中堅・中小の金属製造業労組でつくるJAMは1月19日、オンライン方式で中央委員会を開き、定期昇給相当分を維持したうえで、6千円基準のベアを掲げる2021春闘方針を確認した。新型コロナ禍で交渉環境は厳しさを増す。安河内賢弘会長は「コロナ後に日本経済をV字回復させるためにも、個人消費を冷やさない、賃上げのモメンタム(勢い)を消さない、そういう春闘にすることが必要だ。一企業だけの問題ではない。労使でひざ詰めの議論を」と呼び掛けた。

     方針は、前年の要求基準を維持。三十数万人の組合員の賃金データを基に算出した、「30歳高卒後勤続12年・27万円」水準などへの到達を求める個別賃金の取り組みを重視する。賃金制度がなく賃金実態を把握できない組合については、定昇相当分4500円を含む「1万500円以上」に取り組む。目標とする賃金水準への到達を意識しながら、ベアを求め、賃上げ相場づくりに挑む。

     方針を提起した中井寛哉書記長は、この20年余りで大手と中小の賃金格差が拡大し、新型コロナ感染拡大でさらに社会的格差が深刻化していると指摘。「法人企業統計によれば2019年度の内部留保は475兆円。賃上げや設備投資にも回らず、デフレの元凶となってきた。現金は企業内に滞留し、富が偏在する、ひずんだ分配構造が日本経済の長期停滞の原因。21春闘はこれを転換する春闘であることを明らかにしていこう」と意義を語った。

     併せて方針は、中堅・中小企業の製品が適正な価格で納入されているか、自社の取引関係を精査し、是正を求めていく「価値を認め合う社会へ」の運動も重視する。今年で5年目。コロナ禍で厳しい経営環境の下ではこれまで以上に重要だと強調している。