自動車総連は1月14日、賃上げを軸に「人への投資」に継続して取り組むとの春闘方針を確認した。「ベア共闘の方針ではない」(高倉明会長)とし、産別として上げ幅要求を示さないのは3年連続。要求の設定は、完成車メーカー労組を頂点とする各企業グループ労連と、単組に委ねることになる。
方針は、若手と中堅技能職について、それぞれ6段階の指標とすべき賃金水準を設定。これを参考に、各単組があるべき賃金水準への到達を目指し、格差是正を図るという。
定期昇給相当分である賃金カーブ維持分を確保し、格差是正を意識した賃上げに「最大限取り組む」とした。
産別として上げ幅要求を示さないのは3年連続。それまで春闘相場形成を主導したトヨタ労組がベア分を開示しなかった18闘争の翌年以来、続いている。
自動車総連によると、完成車製造9社の2020年度の業績見通しは全てが減収減益。部品製造でも90社中78社が減収減益となるなど厳しい環境にあるという。12月段階では「業績が回復しつつある」との見方もあったが、新型コロナ感染第3波の終息は見通せず、先行きは不透明だ。
具体的な戦術を決める中央戦術委員会を産別内に設ける。新型コロナ対応に追われる現場組合員の思いに応える結果を出せるか、産別がベア共闘の旗を振らない中でいかに相場形成を図るかが焦点となる。
高倉会長は「企業の経営環境の厳しさが深まる今だからこそ、経営として最優先すべきは『人への投資』であり、その手法は基本賃金の引き上げが基軸だ。このことは将来への生きた投資につながる」と述べ、経営側に自信を持って訴えるよう呼び掛けた。
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