自民党の最賃全国一元化議連は12月15日、約半年ぶりに開いた会合で、最賃制度のあり方についての提言を確認した。菅政権下での初の予算編成を念頭にまとめた。東京一極集中を是正するためにも、最賃の全国一律化が必要だとし、中小企業支援や、大企業の内部留保の活用、目安制度をはじめ現行最賃制度の根本的な見直しを求めている。
提言は、新型コロナ禍で地方での就業を求める人が増えているとする一方、地方の低い最賃が移住の妨げになりかねないと指摘。「国土構造のあり方として、若者を地方に分散させることで東京一極集中を是正する観点からも、全国一律最賃は不可欠な政策である」と結論づけている。
そのために重視するのが中小企業の負担軽減策。現行の業務改善助成金は利用が限定的だとし、賃金や社会保険料負担を国が直接助成する方法の検討や、労務費を単価に転嫁できる仕組みづくりを挙げた。10年程度の経過措置も設ける。
さらに、累積で450兆円を超える内部留保に毎年0・5%を課税し、それで得た2兆2500億円を中小企業支援に当てる考えも引き続き示した。
提言はこうした政策目標を議論する「検討の場」を政府与党に求めるとともに、厚生労働大臣には中央最賃審議会に対し、最賃制度の根本的な再検討を諮問するよう迫っている。
同議連には衆参の議員29人が参加。加藤勝信厚生労働相、二階俊博自民党幹事長らが顧問に名を連ねている。衛藤征士郎会長は「菅総理に就任後に会い、内政で最も大事な課題は最賃引き上げだと述べると、『これか』と応えていた。官房長官時代には3%ではなく5%引き上げで頑張ってきた経緯がある。決議をまとめ、しっかりした取り組みにしていく」。
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