「許すな憲法破壊!」と訴える緊急院内集会が11月30日に開かれ、約300人が参加した。主催は、村山首相談話を継承し発展させる会やアジア・フォーラム横浜などでつくる「菅政権による検察・行政の強権支配を糺(ただ)す会」。
日本学術会議会員候補の任命拒否への批判を中心に、野党3党代表を含め16人がスピーチ。登壇者からは「今日は何かの決起集会のようだ」との感想も漏れた。主な発言の要旨を紹介する(文責・編集部)。
●安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合/福山真劫さん
学術会議問題の本質は、権力に歯向かう者への差別と弾圧だ。いま、権力者の悪事が次々明らかになってはいるが、まだ政権を倒すには至っていない。
野党がバラバラでは衆院選に勝てず、本格的な野党共闘が必要だ。立憲、共産、社民だけでは不十分。れいわ新選組と国民民主党、参院会派の碧水会とも共闘すべき。共産党に対していろいろ言う人がいるが、菅政権を延命させたいのかと言いたい。
●明治大学特任教授/纐纈(こうけつ)厚さん
令和初期の今は、戦争に向かっていった昭和初期に似ている。われわれは新しい「戦前」を歩かされているのかもしれない。
現に政府は軍事研究を進めようとしている。昭和初期を再来させていいのかが問われており、私たちはそれと闘わねばならない。
●青山学院大学教授/羽場久美子さん
学問は権力に屈してはならないし、権力を監視し批判する役割がある。地方の国立大学では人文科学系学者の退職不補充が始まっているという事実もある。
彼らは特に法学者を(政府にとって)危ない存在だと思っているのではないか。今回拒否された6人のうち3人は法学者だ。政府を批判する学問はやらせないという方向になってきている。
●東京新聞記者/望月衣塑子さん
自民党の甘利明氏や元大阪府知事の橋下徹氏は、学術会議問題でフェイク情報を垂れ流している。官邸擁護のため、意図的にやっていることだ。同様の人間がジャーナリストにもいる。その結果、今回の任命拒否の是非について、世論は半々に割れている。まっとうな世論に戻すため、メディアはファクトチェックしなければならない。
学問の自由は、学者の抑圧から物言えぬ社会に至った戦前の反省からつくられた権利であり、研究者だけの問題にとどまらない。
●中央大学名誉教授/植野妙実子さん
任命拒否の狙いは、人文系ではなく(自然)科学専門の人たちに向けた脅しだ。要は、国のための軍事・科学研究をしろといいたいのだろう。
心配なのは、法治主義や立憲主義を無視していること。勝手な解釈して法律をねじ曲げている。その象徴が学術会議問題だ。
批判は、社会をを良くするために行うもの。なのに批判者の口を封じて、自分たちのやりたいようにやるなら、それは専制政治でしかない。これで民主主義の先進国として認定されるのだろうか。
こんな政権に身を任せていてはいけない。憲法に沿った政治、法律を守る政治が必要だ。
〈写真〉約300人で集会会場はいっぱいに。「政権交代を目指す決起集会のようだ」との感想も漏れた(11月30日、国会内)
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