連合は11月19日の中央執行委員会で、春闘方針案を確認した。懸案だった、全体で取り組む賃上げについてこの日初めて要求基準の数字を示した。定期昇給相当分(2%)の確保を大前提に、「それぞれの産業における最大限の『底上げ』に取り組むことで、2%程度の賃上げを実現」するという内容。取り組み方は変わるが、昨年までの数字を変えないことで、賃上げの流れを止めないという意思を内外に示している。
新型コロナ感染拡大による経済のかつてない落ち込みで、企業業績に大きなばらつきがある中での方針論議となった。
方針案は、構成組織に2%程度の賃上げ(ベア)要求の取り組みを求めるのではなく、「最大限」の賃上げに取り組むことを課している。結果的に全体で2%程度になることをめざすという内容だ。
2%程度基準の賃上げを構成組織に求めていた昨年までとは様相が異なるが、定昇分2%とベア2%という数字の表記は維持した。
神津里季生会長は中執後会見で「この数字(2%)を上げたり下げたりすると、私たちが意図しないメッセージとして受け止められかねない。日本経済をどうするか、政労使で考えることが重要だ。ここで賃上げの流れを急停止させてはならない」と述べた。
方針案は、新型コロナの感染リスクにさらされながら働かなければならないエッセンシャルワーカーの賃金の多くが「働きの価値に見合った水準となっていない」と指摘し、格差是正を強調している。
同会長は「格差是正のためには、むしろ賃上げの強化が大切だ。賃上げの旗を降ろせば、その方々に合わせる顔がない」と述べ、理解を求めた。
方針案は12月1日の中央委員会で最終決定する。
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