コロナ禍の広がりに伴い、学生アルバイトなど非正規労働者に犠牲が集中している。首都圏青年ユニオンの原田仁希委員長は、貧困が進む若者の状況を語り、労働組合としてできることがあると強調した。全労連非正規センターの総会(10月30日)に関連したオンライン学習会での発言。
●脆弱な労働市場
原田委員長は、青年ユニオンが立ち上げた飲食店ユニオンと学生ユニオンで受けた相談内容を紹介。多いのは(1)休業手当の不払い(2)不十分な感染対策(3)解雇や雇い止め――だ。「特に学生の貧困状況が顕著」として、こう語った。
「アルバイトで生計を立てている学生が多い。月10~15万円稼ぐ層が普通にいる。実家にお金を入れている人さえいた。そこが今回のコロナでとどめを刺された。雇用調整助成金の拡充などで休業手当の不払い相談は徐々に減ったが、一方で静かに自主退職していく状況が進んでいる。非正規労働者をめぐる脆弱(ぜいじゃく)な労働市場の実態が明らかになった」
札幌青年ユニオンの岩崎唯委員長も、非正規で働く女性らから相談を受けてきた。コールセンターやアパレル関係が多く、休業手当の不払いや、クラスターが発生する中での出勤強要などが目立ったという。「非正規労働者にはマスクの支給がなく、テレワークも認められない。健康・安全面でも非正規を下にみる風潮があり、人権問題だ」と憤った。
●国の政策・制度拡充を
青年ユニオンは相談を受け、40社近い企業と交渉を重ねてきたという。「ほとんどのケースで給料の8~10割を獲得できた。労組に入って闘えば補償を勝ち取れる。労組が先頭に立って声を上げることが大事だ」
とはいえ、コロナ禍で苦しんでいる企業があるのも事実。企業責任の追及だけでは無理があるとして「失業手当など、国として労働者を守るための制度や政策の拡充を求めていくことが大事だ」と述べた。
●一律正規化ではなく
労組が「正規化」を要求することについて、原田委員長は「飲食店などでは、正規社員の雇用が劣化し過酷な労働実態が広がっている。その状況で単純に非正規の正規化を要求しても問題は解決しないし、当事者の心に響かない。私たちは、非正規でもまともに生きていけるような待遇改善の方向で取り組んでいる」と語った。
コメントをお書きください