欧州労連(ETUC)は現在、「職場の民主主義強化が不可欠」と訴える署名活動を展開している。新型コロナウイルス感染が再び拡大する中で、企業が従業員の大量解雇に乗り出していることに歯止めをかけるのが狙い。
欧州には企業が大量解雇を行う際、従業員代表と協議する仕組み(EWC)がある。欧州労使協議会と呼ばれ、現在、各国に800以上のEWCが設立されている。企業の経営方針に関する情報提供と、労組代表との協議を義務付けているのが大きな特徴だ。
しかし、欧州労連によれば、コロナ禍でこうした仕組みが軽視され、情報提供も労使協議もないまま、リストラ計画が発表されるケースが少なくないという。
署名は、コロナ禍を理由とする一方的なリストラに歯止めをかけるため、企業に情報提供と労使協議を確実に行わせるよう、従来のルールを強化すべきという内容だ。
具体的には(1)コロナ禍による企業経営や雇用、労働条件への影響について、意味のある最新情報を提供すること(2)企業が提供した情報を吟味する十分な時間の保障と、解雇・企業閉鎖を避けるための代案の提示(3)代案を議論する機会の保障と企業の回答義務付け――などである。
欧州労連は「各国でコロナ禍に関連する複数のリストラ計画が発表されており、もう時間を無駄にはできない。緊急に行動に移すことが必要だ。職場における民主主義、基本的な権利を今こそ強化する必要がある」と強調している。
コメントをお書きください