スイスで11月29日、国民投票が行われる。同国を本拠とする多国籍企業が世界で人権侵害や環境破壊を引き起こした場合、責任追及できる法律の制定の是非を問うもの。労働組合や120のNGO団体、教会などが制定を求めている。
スイスでは、重要な国の政策を制定する際、国民投票にかける慣行があり、年に数回行われているという。投票を実現するには、18カ月で10万筆の賛同を集める必要があり、今回は1年足らずで12万筆を得た。
製造業関係の国際産別インダストリオールは2年前から取り組みに着手。スイスに本社を置く、鉱山開発の多国籍企業グレンコアがコロンビアやコンゴ、オーストラリアで行っている人権侵害の被害者を支援する中で、今回の法制定の必要を訴えてきた。
一方、企業側は「法制定は企業の競争力を削ぐ」などとして反対するキャンペーンを繰り広げてきた。
インダストリオールのボルタ―・サンチェス書記長は「企業はもっともらしい理由をつけて、自らの人権侵害の責任から逃れようとしている。今回の取り組みは、人権侵害の企業責任を追及する国際的な流れの一環だ。企業に対し『もうあなたたちに隠れ場所はない』と言いたい」とコメントしている。
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