核兵器禁止条約の発効確定を受けて10月26日、日本被団協とヒバクシャ国際署名連絡会が会見を開き、広島・長崎原爆の被爆者らが「本当にうれしい」と満面の笑みを浮かべた。日本政府が条約に冷淡であることに落胆しつつも、被爆の実相を伝え二度と核兵器を使わせてはならないと訴えていく、と語った。
●日本政府に批准求める
ヒバクシャ国際署名は2016年に開始。今年9月半ば段階で1261万超を集めた。当初の予定を変更し、年内いっぱい継続する。条約の発効は来年1月22日。日本政府に批准を求める世論を高めたい考えだ。
胎内被爆者の濱住治郎日本被団協事務局次長は「75年前の8月6日、父は仕事に出たきり帰らぬ人となった。『お父さん、75年たってやっと核兵器を禁止する条約ができたよ』と伝えたい。今日まで被爆者運動に携わってきた先達たちに感謝したい」と語った。
発効確定を受け、加藤勝信官房長官は同日、「現実的ではない」と述べ、禁止条約に否定的な日本政府の従来姿勢を繰り返した。
この発言について、ヒバクシャ国際署名連絡会の田中煕巳代表は「かつての日本政府は『核兵器は人道法の精神に反するが、実際に規制する国際法がないので違法とはいえない』という立場を取った。条約ができ、そんな口実は成り立たなくなったのに、何にも考えていない」と述べ、米国の核の傘に固執する政府の姿勢に疑問を投げかけた。
〈写真〉田中代表は会見の最後に「私たちは死者の思いを背負っている」と述べ、核兵器廃絶への強い思いを語った(10月26日、都内)
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