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    大幅アップと全国一律が必要/日弁連が最賃でウェブシンポ/税・社保改革で中小支援を

     日本弁護士連合会は10月27日、「最低賃金の全国一律化について考える市民集会」をウェブ上で行い、「働く貧困層の解消のためには、最賃の大幅引き上げと全国一律化が不可欠だ」と訴えた。岡田知弘京都橘大学教授が講演し、社会保険料負担の軽減をはじめ、税・社会保障改革や公正取引ルールの厳格運用など、中小企業に利益が配分される仕組みをつくることが必要と語った。日弁連は2月、全国一律化を求める意見書をまとめている。

     狩野節子副会長は「ワーキングプア(働く貧困層)の解消と地域の再生のためには、最賃の大幅引き上げと全国一律化が不可欠だ」とあいさつした。同貧困問題対策本部の児玉修一委員は、日本の最賃が4ランクに区分され、低額県ほど上げ幅が小さく、地域間格差を広げているとし、「最賃制度が機能不全に陥っている」と指摘した。

     岡田教授は、菅政権のブレーンであるデービッド・アトキンソン小西美術工藝社社長の「最賃を上げ、生産性の低い中小企業を淘汰(とうた)すべき」という主張を検証。大企業優遇の税制度や下請けたたきなどの問題を無視した議論だと指摘し、「これでは地方経済は衰退する」と批判した。

     そのうえで、約460兆円もの内部留保に象徴される、大企業の利益を社会に再配分する税・社会保障制度の改革や、公正取引の厳格運用などの政策を行い、中小企業の経営基盤強化と最賃引き上げを同時に進めるべきと語った。

     

    〈写真〉日弁連のウェブ集会は約100人が視聴した(10月27日)