新型コロナ感染拡大で1年ぶりの開催となった労働政策審議会(10月9日)の本審で、複数の使用者側委員が裁量労働制の対象業務拡大の早期実現を訴えた。雇用調整助成金の特例の延長についても労使双方が意見を述べた(表)。
使用者側委員の冨田哲郎JR東日本会長は、副業・兼業の推進に企業としても対応していかなければならないと発言。労働者自身が主体的なキャリア形成と自分に合った働き方の選択を行えるようにすべきとした上で、「時間によってではなく、自律的に働けるよう労働時間制度の見直しが喫緊の課題だ。裁量労働制の対象業務拡大を早期に行うべき」と述べた。中小企業の使側委員からも同様の意見があった。
「働き方改革」に当初、裁量制の営業職などへの適用拡大が盛り込まれたが、導入の根拠となる基礎データの偽装が発覚。一括法案から除かれた経緯がある。再調査の結果を踏まえ労政審で再審議する予定だ。
雇調金の特例の来年1月以降の延長と財源問題も焦点。使用者側は「柔軟な対応を」「慎重に検討を」などと発言。一般会計による国費投入や、「失業なき労働移動」のための職業訓練と成長産業へのマッチング機能の充実を求めた。
労働側は、新型コロナによる影響調査や、雇用類似の働き方における労働者概念の見直し、ハラスメント対策、政労使協議や社会対話、雇調金の特例延長などを求めた。
〈写真〉労働政策審議会本審では三原じゅん子厚生労働副大臣(左端)が冒頭あいさつした(10月9日)
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