全労連は9月27日、2020年度の地域別最低賃金の発効を前に、オンライン学習会を開いた。今年度の最賃改定を振り返り、今後の運動に何が必要なのかをテーマに話し合った。秋山正臣事務局次長は、今後1年以内に行われる解散総選挙で「最賃を政治課題にしていく。野党共闘勝利で政治を変えていこう」と呼び掛けた。
●25歳で年300万円を
後藤道夫都留文科大学名誉教授は、運輸やサービス業などで働く男性正規労働者の賃金が「最賃プラスアルファ」の水準に低く抑えられていることや、「家計補助」ではなく生計を支える非正規労働者が増加していることを指摘。「家計補助」で働くという、旧来の最賃の対象者像は実態に合わなくなってきているとして、次のように語った。
「低い最賃は非正規労働者だけの問題ではない。男女とも25歳になれば年300万円が得られる、最賃1500円を目指す運動がこれからも重要だ」
中澤秀一静岡県立大学准教授は、岡山など4県で今年発表した最低生計費試算調査を振り返り「どの調査でも『普通』に暮らすには1600円以上(月150時間で換算)が必要という結果になった」と報告。「中央最賃審議会が目安を示さない中、40地方最賃審議会が最賃額を引き上げたのは『地域別最賃は大都市と地方の格差を拡大させている』という地方の声の表れではないか」と指摘した。これからの運動について、現行の最賃額では貧困に陥るという事実を伝え、社会の認識を変えていくことだと語った。
●県知事名で意見書
地方からは、茨城労連の岡野一男事務局長が、今年の茨城地方最賃審議会に、大井川和彦県知事名で最賃引き上げを求める意見書が提出されたことを報告した。
意見書は「県内労働者の賃金の底上げを図ることが重要」であり、近隣県より低い最賃では「労働力確保はさらに困難になる」と指摘。新型コロナウイルスの影響を認めつつ、「最賃の問題は早期に解決すべき」と引き上げを求めた。
岡野事務局長は「県労働政策課と毎年懇談し、県知事名の意見書提出を求めてきた。初めて実現した」と述べた。茨城県の地域別最賃額は2円上がり、時給851円となった。
〈写真〉オンライン機能を使っての質問に応じる後藤氏(右上)と中澤氏(下)(9月27日、オンライン)
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