日本の貨物船「わかしお」がインド洋モーリシャス沖で座礁した事件について、国際運輸労連(ITF)が8月21日に見解を発表した。乗務員の処罰を急ぐのではなく、事故の原因を適切に探究すべきだと指摘。特にコロナ禍の下、世界で多くの乗務員が海上に足止めされ、自国に帰れない状態で疲弊している問題を考慮すべきと訴えた。
地元のメディアは事故原因について、乗務員がインターネット接続を求めて島に近づいたためと報じたが、モーリシャス当局はこの見方を否定している。
ITFも「乗務員にのみ事故の責任があるという報道内容は受け入れられない」と批判した。その上で、大多数が通常の勤務期間(11カ月)を超えて疲弊していた事実があると述べ、事故原因の結論を急ぐべきではないとした。
現在、世界の洋上では約30万人の乗務員が、自国に帰れない状態で足止めされているという。新型コロナによって各国が国境を封鎖したり、航空便を制限したりしているためだ。通常は勤務を終えた港で交代要員にバトンタッチし、飛行機で帰国することになるが、それが困難になっている。
ITFは、疲弊した状態で放置すれば健康被害だけでなく、深刻な事故にもつながりかねないと警告。各国政府には、交代要員確保と乗務員の速やかな帰国を実現するよう求めてきた。
そんな中で起きた今回の事故だけに、ITFは乗務員に安易に責任を押し付ける動きを警戒している。
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