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    40県で1~3円の引き上げ/地域別最賃改定額出そろう/正規・非正規間の格差拡大

     地域別最低賃金の全国の改定額が8月21日、出そろった。中央最賃審議会が目安を示さず、ゼロベースからの審議を余儀なくされる中、引き上げ幅は40県で1~3円。引き上げ平均は1円(平均額は902円)だった。近年の最賃引き上げの流れはコロナ禍で中断し、正規・非正規間の格差は一層広がった。

     引き上げを決めたのは40県。1円が17県、2円が14県、3円がDランクを中心に9県を数えた。

     豪雨災害被災地の熊本が5日、3円を答申したのを契機に、愛媛では使用者側が「全国最低ではイメージが悪い。高校生が県内で就職するにも県外からの流入にも支障が出る」(県経営者協会)として3円を提示し全会一致で決めるなど相場を押し上げた。

     一方、東京ではゼロ円の公益提案に対し、労働側委員3人が「命の危険を感じながら最賃近傍で働くエッセンシャルワーカーの賃金がなぜ上がらないのか。経済団体の言い分そのままだ」と抗議文を読み退席。大阪では金額を詰める専門部会で公益委員が据え置きに反対を表明した。多くの地方で予定の日程では決まらず、波乱含みの展開となった。

     中賃の指標で「4表」と呼ばれる、6月の零細企業の賃上げ率は1・2%。最賃引き上げ率0・1%は遠く及ばない。正規・非正規間格差は一層広がった。

     Dランク県では多くの労働側委員が「今年こそ800円に届かせたかった」と悔しがる。2010年の政労使合意(雇用戦略対話)は全国加重平均千円への到達と併せ、「できる限り早期に最低800円を確保」としていたが、現政権はこの目標を無視している。

     欧州の先進国は千数百円となり、米国でも各都市で15ドル(約1600円)をめざす条例が相次ぐ。最賃を上げ、同時に雇用維持に国が全力を挙げることが、長年のデフレと新型コロナ禍で傷ついた日本社会に必要だったが、残念ながらそうはならなかった。

     40県での引き上げと、各地での緊迫した審議は、国の姿勢への不満の表れといえるだろう。

     審議は異議申し立てを経て、有額の改定を決めた地方は10月1日以降順次発効する予定。