東京地方最低賃金審議会が8月5日に答申した「現行通り(1013円の維持)」の結論について、66通の異議申し立てが寄せられた。かつてない多さで、ほとんどが生活の厳しさを訴え、コロナ禍の下でこそ引き上げが必要と訴える内容だった。
21日の審議会(異議審)でその要旨が紹介された。審議会の結論は変わらなかったものの、労働側委員からは「(こうした)他団体の意見を真摯(しんし)に受け止め、来年度の議論に反映してもらいたい」との声が上がった。
異議申し立てを行ったのは、東京地評の加盟組合など。最低賃金1500円を目指す若者グループのエキタスは「現行通り」答申に対する意見をネットで呼び掛け、集まった170人の声を異議申し立て書に添付。19日に東京労働局を訪れ「私たちの声を聞いてください」と要請した。
●「凍結にはがっかり」
その中で、ダブルワークをしている女性は「コロナ感染のリスクを抱えながら休みなく働いている。物の値段は少しずつ高くなり、出費を切り詰め、命を削って暮らしている状態」と訴えた。保育士は「先進国の首都として自治体の手本になってほしい。人間らしく暮らせる東京を目指してください」。生協の非正規労働者からは「時給は最賃プラス10円程度。一人ではとても暮らせない。凍結という答申にはがっかり」などの意見が寄せられた。
エキタスは労働局への要請で「最賃水準で働く人がすごく増えている。そういう現場の声を聞いてほしい。聞いていたら、こんな(現行通りという)答申にはならないはずだ」と強調していた。
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