ピースボートから創価学会まで幅広いNGO、市民団体でつくる「核兵器廃絶日本NGO連絡会」は8月5日、広島市内で討論会を開いた。国連の中満泉事務次長や尾身朝子外務大臣政務官が参加。与野党の代表を交えて「被爆75年、核兵器廃絶へ日本は何をすべきか」をテーマに話し合った。
中満国連事務次長は核兵器をめぐる現状について「大国間の緊張が高まり、核軍拡競争が始まりつつある。サイバーや人工知能(AI)などの技術が進展し、新しいタイプの核ミサイルが作られることで、戦略的な安定という核抑止力の構図そのものが変化している」と指摘し、「軍縮は理念ではない。安全保障のツールだ。(核情勢の)緊張関係が高まっているからこそ、軍縮の議論が必要だ」と強調した。
●禁止条約への態度は?
核兵器禁止条約について、各党が態度表明した。公明党の山口那津男代表は禁止条約の効力を期待しつつも批准には消極的な姿勢を示した。自民党の「核兵器廃絶推進議員連盟」事務局長の平口洋衆院議員は「条約(批准)はやや時期尚早で反対」と述べた。
一方で、主要野党は核兵器禁止条約の批准を求め、国会での議論を提案した。
立憲民主党の枝野幸男代表は「米国との同盟関係を維持しながらでも批准できる。せめて締結国会議にオブザーバー参加できないか。人類は今、新型コロナウイルスなどによる危機と闘っている。人間同士が核兵器で脅し合ったり、争っている余裕はない」。
国民民主党の玉木雄一郎代表は「唯一の戦争被爆国として道義的責任がある。世界へのメッセージとなる。批准するべきだ」と述べた。
日本共産党の志位和夫委員長は「批准に向けた真剣な検討を強く求める。『いざという時には核兵器のボタンを押すぞ』というのが抑止力の本質。広島、長崎の非人道的な惨禍を許すことになる」と発言。
社会民主党の福島みずほ党首は「一日も早く批准することを求める。世論調査は72%が(条約に)参加すべきと示している。批准は広島、長崎の犠牲者への政治の責任だ」と訴えた。
れいわ新選組の舩後靖彦参院議員もウエブで参加し、「核軍縮の議論が停滞する今こそ、条約発効の意義が高まっている。日本は批准すべき」と話した。
〈写真〉核兵器の現状について話す国連の中泉事務次長(8月5日、広島)
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