原水爆禁止日本協議会(日本原水協)などの原水爆禁止世界大会・長崎デー(8月9日)でプロダイバーの武本匡弘さんが撮影した海中写真などを使って、気候危機が及ぼす実態を告発し、環境運動との連帯を呼びかけた。発言(要旨)を紹介する。
●原因は気候変動
約40年のダイビングキャリアの中で、この20年間、海中の環境破壊が進んでいることを危惧している。例えば、サンゴの白化現象だ。サンゴ礁は生物多様性を支える重要な生態系。サンゴと共生する藻が死滅することにより、サンゴの骨格が透けて見える現象で、白化が続くとサンゴは壊滅する。白化現象は地球全体で起きており、オーストラリアにあるグレートバリアリーフの6割以上で白化が進み、がれき化しているといわれる。沖縄の海でも同じ現象が起きている。
主な原因は気候変動だ。私は自分でヨットを操船し、太平洋の島々を回って調査している。活動の中で海水温の上昇を体感している。サンゴ礁でできた島々は標高がほとんどなく、海面上昇によって高潮のたびに家が流される島民の話も聞いた。
日本国内も危機的な状況がある。磯焼けという、コンブなどが生息できなくなる現象が全国に広がっている。神奈川・江の島付近の海でも12年前はコンブなどが繁茂していたが、今年はほとんど見当たらない。私たちが生活や経済活動で排出している二酸化炭素が地球の気候を変えてしまっている。
●イルカを兵器にした米国
軍事行動が最も激しく環境を破壊することを忘れてはいけない。環境問題と核兵器廃絶、平和運動は別物ではないという認識が必要だ。沖縄・辺野古の新基地建設でも工事の影響でサンゴの白化が進み、現在はがれき化している。軍事訓練によっても大量の二酸化炭素が排出される。米海軍はイルカまでも兵器として保有し、湾岸戦争では数百頭が駆り出されたことが知られている。
人間も環境も地球も一瞬にして破壊するのが核兵器だ。世界中で気候危機に立ち向かう運動が広がっている。その運動との連帯が求められる。
〈写真〉海中写真を使いながら話す武本さん(8月9日、オンライン)
コメントをお書きください