新型コロナウイルスの感染拡大で、事業と雇用に最も大きな影響を受けている業種の一つが観光産業だ。旅行会社やホテルの労組でつくるサービス連合は、政府の旅行促進政策GoToトラベルキャンペーンをめぐる政府対応について「逆に旅行そのものを敬遠させる」と厳しく批判。既存の助成金や給付金では事業の継続は厳しいとし、「観光産業持続可能給付金」の創設を求めている。
8月4日、都内で記者会見を開き報告した。
GoToトラベルキャンペーンをめぐる混乱について、後藤常康会長は「安心して移動できなければ意味をなさない。旅行そのものが悪いと言われることが危惧される」と懸念を表明。PCR検査や感染症指定医療機関の拡充など、医療体制の確保が必要との認識を示し、合理的な説明を行えない政府の対応に苦言を呈した。
終息の兆しの見えない状況下、「観光産業持続可能給付金」の創設を訴える。1年間の人件費や事業経費を補填(ほてん)する融資とし、雇用・労働条件を維持した企業には返済を免除するという内容だ。傘下の組合でも雇用問題が発生しており、急を要する課題。国も検討に前向きな姿勢を示しているという。
後藤会長は「観光産業は裾野が広い。周辺で従事する人は政府推計で800万人、私たちの試算で480万人に上る。観光産業は日本社会、地域社会にとって有益な一方、中小の事業者が多く、財務基盤は比較的脆弱(ぜいじゃく)だ」と述べ、5年、10年先を見据えた対応を求めている。
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