「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    最賃アップの願いは切実/全労連が会見/コロナ禍の下で労働者が訴え

     今年度の地域別最低賃金額改定目安の大詰めの審議を控えた7月17日、全労連が会見を開き、コロナ禍の下でこそ最賃引き上げが必要と訴えた。介護職などのエッセンシャルワーカー(コロナ禍の下でも社会に必要不可欠な仕事を担う人)が参加し、不安定な収入や低賃金の実態を語った。

     

    ●時給1600円だが…

     

     東京都内で訪問介護のヘルパーとして働く永井孝知さん(48)は「(無症状の感染もあるため)自分が新型コロナに感染し、介助する相手にうつしてしまうのではないかという不安の中、働いている」と話す。コロナ禍の下でも事業継続が求められる一方、「コロナが怖いから来ないで」と介助を断られるケースも多く、介助時間によって収入が決まるヘルパーにとっては深刻な状況だ。

     幸い、現在は事業所が介助件数をやりくりし、通常の収入を維持できている。しかし、この状態が長期化すれば限界がくるのは明らか。永井さんは「初任給は最賃額とほぼ同じ。私は約10年勤めて時給1600円。それでも生活はカツカツだ」と語った。

     

    ●「本当に苦しい」

     

     いわて生協労組の阿部恵子さんはオンラインで職場の状況を報告した。労働者の8割がパートで、時給は820円。最賃額790円との差は30円しかない。コロナ禍の下で働き続ける中、モチベーションは下がっているという。「生活を支えるためのダブル、トリプルワークで疲れる。最賃額が1500円になったら(働く場が)1カ所だけで生活できる。最賃引き上げを強く希望する」と述べた。

     北海道の障害者施設で生活支援員として働く鹿野めぐみさん(47)は「コロナ禍でも事業を継続し、通常の業務に消毒や検温など新型コロナ対策の作業が増えている。私は高校生の息子がいるシングルマザー。初任給は最賃額の861円で、7年目の私でさえ(昇給しても)手取り約11万円。先月は10万円を切った。息子の学費、お弁当、部活と、出費が重なり本当に苦しい。最賃を引き上げてほしい」と訴えた。

     

    〈写真〉訪問介護のヘルパーとして働く永井さん(右から2人目)は「コロナ禍が長期化すれば、収入がどうなるか不安だ」と話す(7月17日、都内)