コロナ禍の下で子どもの教育と教員の働き方を問うシンポジウムが7月18日、ウェブ上で開かれ、約700人が視聴参加した。名古屋大学の内田良准教授のユーチューブサイト「内田良の学校カエルちゃんねる」が企画。岐阜県の高校教員の西村祐二さんらが1年単位の変形労働時間制の導入を阻止するための取り組みを報告した。
内田准教授は、文部科学省が1月の中央教育審議会で(1)教員免許更新制度(2)学力テスト(3)標準授業数――など業務削減への検討項目を示したことを評価。「(休校の影響で)練習なしで卒業式を行うなど、業務削減のあり方がコロナ禍で見えてきた。子どもも教員もゆとりをもって安心して授業ができるようになってほしい」と語った。
長時間労働や部活動問題をツイッター上で発信してきた西村さんは、公立学校の教員に導入可能になった1年単位の変形労働時間制について報告。「変形制で1日の所定労働時間を伸ばせば、(自主的活動と扱われる時間も)管理職が業務命令を出せるため、さらに仕事が増える可能性がある」と指摘した。
文科省が自治体に対し、導入を可能にする条例を9月議会で定めるよう促していることに触れ「県の教員に変形制を導入するかは県民が決める。地域社会で議論することが大事」と述べ、勤務地の岐阜県で、議会宛ての署名運動を開始するという。
日本労働弁護団常任幹事の嶋埼量弁護士は、教育は社会全体の課題であり、広く社会の理解を広げるべきと強調。制度導入について「社会に訴える方法は一つ。労働組合だ。組合は導入阻止の主体になるような強力な武器。教員個人でできることではない」と述べ、教員に組合への結集を呼びかけた。
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