沖縄県内のホテルで清掃業務を請け負う会社の労働者が6月、ホテル休館に伴う休業手当の支払いを求めて労働組合を結成した。会社側は「シフト勤務」を理由に休業手当の支払いを拒否したが、沖縄労働基準監督署はこの言い分を退け、雇用調整助成金を活用して支払うよう改善を求める指導票を交付した。労使交渉では、個人で請求できる新たな休業給付金の申請に会社側が協力することを確認した。
●労基署が改善を指導
5月、沖縄県内のホテルで清掃業務で働く労働者から、沖縄県労連に「休業手当が支払われない」「組合をつくりたい」との相談が寄せられた。労働者らが所属する会社は、東京都新宿区に本社を置くS・TECと関連会社。沖縄県内のホテル数社の清掃業務を請け負っている。
6月13日には同労連うまんちゅユニオンうりずん支部の結成大会を那覇市内で開催し、35人が加入。ホテルが休館して仕事がなくなった3月以降の休業手当支給などの要求を決めた。
同ユニオンによると、会社側は雇用契約書に「シフトが入らない日は休日」との文言があることを口実に支払いを拒んだ。休日なのだから、休業手当は発生しないという主張だった。
併行してユニオンは沖縄労基署に労基法違反を申告。同署はこのほど、国の雇用調整助成金を活用して休業手当を支払うよう、同社に改善を求める指導票を交付した。嶺間信一書記長は「『シフト制だから』と言って休業手当を支払わないのは駄目だと明確に否定した内容だ」と話す。
一方、労基署は休業の原因はホテルの休館にあるとし、請負会社の都合による休業ではないと判断。労基法上の支払い義務までは認めなかった。
会社側の姿勢もかたくなだった。交渉の末、個人が請求できる新たな「休業給付金」の申請に、会社側が協力することを確認し、一定の決着をみた。
厚労省は5月27日の通達で、派遣添乗員など労働日が定まらない人の休業手当について、過去の実績から支給するよう示している。
●しわ寄せは労働者に
問題は休業手当だけではなかった。ユニオンによると、会社側は退職届を出させたり、有期契約の更新をしないなど実質的な雇い止めを行ったりしていた。しかも、離職票の交付が1カ月以上遅れる人が続出。在職者には休業手当を支払わず、退職者には離職手続きを取らない、という不正常な事態が生じていたという。
契約更新後は雇用契約書を渡さず、年休取得の制限や、雇用保険一部未加入も明らかになった。ユニオンは法違反の是正と、雇用継続を要求し、会社側に是正を約束させた。
同社が雇用調整助成金を使おうとせず、離職票交付も十分にできなかったことに関して、嶺間書記長は「この会社は全国で業務を請け負い、約3千人を派遣している。同様の事態が全国で起きているのではないか」と懸念を示す。
全労連によると、最近の労働相談では、勤務シフト減少分についてノーワーク・ノーペイを主張し休業手当を支給しない事例が後を絶たないという。
一連の取り組みは、「コロナだから」と諦めずに同僚たちと労働組合をつくり会社と交渉すれば、休業補償の道が開けることを示している。
〈写真〉さまざまな派遣先ホテルで働く清掃労働者が組合を結成。休業手当支給を要求した(6月13日、沖縄県那覇市内※沖縄県労連提供)
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匿名 (月曜日, 04 1月 2021 21:25)
この業界は変形労働時間制を見直さないとどうにもならん。特に一年単位は勤怠管理が困難であるし残業代の未払いや割増賃金の未払いにも直結する悪法である。