全労連や純中立労組でつくる国民春闘共闘委員会は7月9日、単産・地方代表者会議を開き2020春闘の中間総括を確認し、夏以降の闘いを討議した。今回はオンラインでつなぎ、地方春闘共闘や単産が視聴、発言した。
小田川義和代表幹事(全労連議長)は、新型コロナウイルスの影響で解雇や雇い止めに遭った労働者が7月で3万人を超え、その6割が非正規労働者だったことに触れ、「コロナ危機の犠牲が非正規労働者に押し付けられている。抗議する闘いをつくり出していかなければならない」とあいさつした。
20春闘の最終集計は登録組合の単準平均が5212円(1・93%)で、ほぼ前年並み。中間総括は、新型コロナ禍で通常の団体交渉が難しくなる中、交渉人数を制限しつつ、職場への報告の徹底や指名ストへの戦術変更など工夫を凝らしながら、闘争体制を継続したことが奏功したと分析した。生活の厳しさを明らかにして、大幅賃上げが必要と訴えたこと、職場に労働組合の存在を示し、非正規労働者や関連会社の労働者と共に闘ったことも教訓とした。
●〈討論から〉
民放労連は、初任給の引き上げと非正規労働者の処遇改善を重視して取り組んだ。
昨年末、東京キー局では「同一労働同一賃金」の法改正(大企業は今年4月施行)を口実に、正規労働者の手当を廃止する動きが起きた。春闘で同様の不利益変更を許さない闘いを展開し、非正規労働者の手当支給を勝ち取る単組が増えた。
JMITUは、ほぼ昨年水準を維持したと報告した。「統一ストライキと、産別を軸とした団交を組み、均等待遇でも統一要求で交渉し勝ち取ったことが特徴だ。ストを構えた支部や分会が増えた」という。
成果主義の下での闘いも前進している。ベアゼロが5年間続いたIT関係のある分会では、産別団交で「賃上げで人員確保を」と要求し、初めてストを背景にして取り組んだ。その結果、一律8千円の賃上げを勝ち取った。
●委託会社の労働者にも
生協労連は、経営側に現場の声を届けてきた。新型コロナウイルスの影響で、宅配事業や物流関係は多忙化し、顧客からのクレーム対応にも追われた。店舗でも感染リスクを負いながら働き続けた。生協労連は「こんな時だからこそ満額回答を迫ろう」と単組に呼び掛けてきた。その結果、委託会社の労働者に対し、ほぼ同額の感謝金を引き出した組合もあった。夏季一時金の上積みを勝ち取った単組もあると報告した。
日本医労連は、新型コロナウイルスの影響で経営側が「見通しが立たない」と回答を引き延ばす事態となっていることを報告。一方で、「コロナだから仕方ないでは終わらせない」と声を上げる組合員が増えたことも紹介した。
夏季一時金は新型コロナに伴う経営危機が影響し、昨年を下回る労組が34%を占めるという。中には定期昇給なし、一時金ゼロという状況もある。
「国の第2次補正予算から慰労金が支給されるが、現場では支給の有無や金額差が分断を招いている。これでは本末転倒だ」と危機感をあらわにした。
〈写真〉あいさつをする小田川代表幹事。初めてオンラインでつなぎ、地方春闘が視聴、発言した(7月9日、都内)
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