新型コロナウイルスの世界的大流行が及ぼす影響と、各国での課題や対応策について話し合う、国際労働機関(ILO)のオンラインサミットが7月7日から3日間開かれた。連合の神津里季生会長もスピーチし、コロナ禍の下でセーフティーネットと集団的労使関係の重要性を強調した。
サミットでは2日目の8日、各国の政府首脳や労使代表ら約70人が演説した。 神津会長は、全国で実施している労働相談活動を紹介。「そこに寄せられる悲痛な声を通じ、いかに現在のセーフティーネットが脆弱(ぜいじゃく)か、弱い立場にある方々が深刻な打撃を受けているかを痛感した」と指摘。その活動を通じて、職場に労働組合が存在することによって生まれる「集団的労使関係」の機能の重要性をあらためて実感していると述べた。
一部の国で労働者の権利を弱体化させる動きがあることに懸念を表明し「権利侵害の動きに対しては、世界が一致し結束して反対の声を上げていかなければならない」と訴えた。
その上で、連合が昨年策定した新たなビジョン「働くことを軸とする安心社会―まもる・つなぐ・創り出す」の内容を紹介。ILOが提唱する「人間中心のアプローチ」と軌を一にするものだと指摘。さまざまな課題を解決するために、社会対話の枠組みを一層強化することなどに、ともに努力する決意を表明した。
●3億人超の雇用喪失
ILOによれば、新型コロナの影響によって、世界中で職場閉鎖が行われ、今年第2四半期には世界で労働時間が10・7%減少。週48時間換算で3億500万人分の雇用が喪失したことになるという。特に、インフォーマルセクターや女性、若者が大きな影響を受けていると指摘している。
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