全労連はこのほど、最低賃金を全国一律1500円以上とするための中小企業支援策(中間報告)をまとめた。直接支援や社会保険料減免など8兆円の支援策と公正取引確立の政策をパッケージで提案している。今後、経営者団体など社会各層との意見交換の素材として活用し、来年以降に確定する考えだ。
全労連は全国で展開している最低生計費調査で、おおむね時給1500円以上必要との結果を得ている。中間報告は、最賃引き上げが地域経済活性化に必要とし、労働者の7割が働く中小企業への支援が不可欠との考え方を示している。
その一つが、中小企業への直接支援だ。生産性向上のための設備投資を要件とする現行制度を改め、最賃上昇で賃金を引き上げなければならなくなった中小企業に助成する。賃金支給前の資金提供を構想する。
予算規模は4兆5千億円を想定する。時給1500円への引き上げ分500円に月150時間を乗じた7万5000円を基に、年額90万円を従業員一人あたりの助成額として計上。時給1500円未満で働く労働者を500万人いると推定し、試算した。
もう一つが、中小企業団体の要望の強い、社会保険料の使用者負担軽減だ。使用者負担分の25~50%を国が負担する。総額で計3兆2千億円超を見込む。
いずれも当面の措置。最賃大幅引き上げによる経済波及効果により、必要な支援規模は縮小していくとみる。財源は大企業への法人減税と所得税最高税率の見直し。時限的には内部留保課税も検討する。
公正取引実現や有効需要創出にも言及。下請けたたき防止のため、下請け代金支払遅延等防止法の履行確保や公正取引委員会の体制強化、公契約法・条例の制定なども提言している。
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