今年度の地域別最低賃金改定の目安を決める審議が6月26日、始まった。経済指標が落ち込みを見せる中、暮らせる水準や内需拡大につなげる結論を導き出せるかどうか。地方創生の観点から地域格差の是正も問われる。
地域別最賃は、15県が最も低い時給790円で、最高は東京の1013円。時給格差は最大223円になる。1人当たりの加重平均は901円で、これを上回るのは7都府県に過ぎない。
毎年7月、公労使3者でつくる中央最低賃金審議会で、引き上げ目安を全国四つの区分ごとに定める。その後、47都道府県の地方最賃審で金額を決める。
近年3%前後引き上げられてきたが、新型コロナ禍で中小企業3団体が「引き上げの凍結」を要請した。
最賃改定の根拠とされた、政府の「骨太方針」策定が遅れており、目安審議では何を基準に決めるのかが注目される。
26日の諮問には、加藤勝信厚生労働相が出席し発言した。3日の政府会合で安倍首相が新型コロナによる中小企業の苦境に考慮すると敢えて述べたことに言及。求人の減少、失業、休業の増加を指摘し、「こうした状況を考慮しながら目安について審議を」と注文をつけた。使用者側は「安倍首相のご指示」と繰り返し述べ、引き上げ抑制を主張。労働側は「国民が一丸となってコロナ禍に立ち向かい、社会の安定につながるセーフティーネットが必要。最賃の改定はそのメッセージとなる」と語った。
新型コロナ禍は、収入の途絶が生活困窮に直結する多くの人々の存在を浮き彫りにした。働く者を犠牲にした経済のあり方を考え直す1カ月となる。
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